何かの組織やグループに属していると、自分の意見が言いにくい時がありませんか?

新人だったり若手だったりすると、確かに立場的に、発言しにくいってことがあるかもしれませんが、そうでなくても、なんとく自分の意見が言いにくいってことありますよね。

 

人はなぜか、グループや組織に服従してしまう。

同調してしまう。

 

本当は、違う意見を持っているのに・・・

 

【目次】

1.日本は特に強い「同調」

2.集団の判断が個人の判断よりも良いとは言い切れない

3.雑感

 

1.日本は特に強い「同調」

 

人間は、グループで何かを決める時、本心では違うことを思っているのに、周囲にあわせて同調してしまうことがありますよね。

 

こうした上辺だけの同調のことを「外面的同調」といいます。

 

例えば、これからみんなでカラオケ行こうと盛り上がっている時に、本当は行きたくないんだけど、「断ったら場をシラケさせてしまいそう」とか「付き合いの悪い奴と思われそう」と感じて、結局、一緒にカラオケに行ってしまう。

そんで、全然楽しめなくて、時間もお金も無駄にしてしまうってことありますよね。

 

逆に、周囲の意見が正しいと思って、同調することを「内面的同調」といいます。

 

この「外面的同調」ってのが、いわゆる服従行動に影響するんですね。

 

たとえば、企業ぐるみの不正行為は、服従行動によって発生すると言っていいですよね。

本当は、良くないことだと分かっていても、「会社のため」とか「自分の立場を悪くしたくない」とか考えて、上司に命じられるまま、不正に加担してしまうんですね。

こんな時は、人間は冷静な判断ができなくなっています。

悪いことはしてはいけない、ということより、会社での自分の立場の方が大事だと考えてしまうんです。

不正がばれた時のデメリットまで考えが及ばなくなってしまうんですね。

 

権威への服従を引き起こす力を「社会的勢力」といいます。

 

これは、5つに分類することができます。

報酬を与えることで服従を促す「報酬勢力」

上司や先輩など目上の立場であることを利用する「正当勢力」

相手の好意や敬意を利用する「参照勢力」

その分野の専門家であることで服従を起こさせやすくする「専門勢力」

相手に罰を与える権利を持つ「強制勢力」

 

このように5つに分類することができます。

全て、なんとなく身に覚えのあるものですね。

組織にいる以上、これらの勢力を味わったことがある人は多いでしょう。

 

普段は、善良で、しっかりとしか規範意識がある人でも、こうした社会勢力に組み込まれると、間違っていると分かっていても、服従してしまうことがあるんですね。

 

2.集団の判断が個人の判断よりも良いとは言い切れない

 

さらに、個人だと正しい判断ができるのに、集団で協議すると間違った判断を下してしまうことがあります。

 

これは、「集団的浅慮」といわれています。

集団だと考えが浅はかになるんですね。

「三人寄れば文殊の知恵」って言葉がありますけど、集団になると、アホになるんですね。

それはなぜか?

みんなの知恵を集めれば、いい答えを導き出せそうなのに。

 

「集団的浅慮」を提唱した心理学者ジャニスによると、集団的浅慮はメンバーの結束力が強く、反対意見の出にくい閉鎖的な集団に発生しやすいそうです。

 

「集団的浅慮」が起きる兆候としては、自分たちは大丈夫という無根拠な過信、外部からの忠告の軽視、自分たちにとって不都合な情報や反対意見の遮断があります。

これらを改善しなかった場合には、意思決定のプロセスにおいて、「他の案を充分に検討しない」「その案が抱えるリスクやコストが検討されない」「非常事態での対応策を考えない」といった問題が起きます。

 

ジャニスは、過去のアメリカ政府がおこなった政策における意思決定プロセスを分析しましたが、これは、民間企業にも言えることです。

例えば、工場などで以前からその危険性や問題が指摘されていたにもかかわらず、組織がこれを軽視した悔過、重大な事故を引き起こしてしまったというのも、集団的浅慮の代表的な一例です。

 

3.雑感

 

これからは、個の時代が来ます。

組織に頼らない働き方がどんどん生まれてきています。

副業の収入が、徐々に本業の収入を超えるようになれば、過度に組織に依存する必要はなくなり、服従することもなくなるでしょう。

そうすれば、組織の人間を気にすることなく、自由な言動をすることができます。

それによって、結果的は、良い成果を出すこともできるかもしれません。

確かに、組織は、ある程度、個人を保護してくれますが、その代償として、個性を奪うこともあります。

それに、これからの時代は、企業の新陳代謝が早くなります。

会社の言うことを忠実に守っていたとしても、その会社がなくなるかもしれません。

自分の能力で生きていく力を身につけることが、これからは必要になってくるのではないかと、考えたり、考えなかったりします。

 

 

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